メラノーマ(悪性黒色腫)や乳癌の転移を調べる。センチネルリンパ節シンチの仕組み

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ごまっちょ博士!おばあちゃんが手術することになりました。

そうか、ついに手術に踏み切るんじゃな。

確かメラノーマ(悪性黒色腫)じゃったかな

そうです。それで手術前にセンチネルリンパ節シンチという検査を受けるんですが、どんな検査なんですか?

とても大切な検査じゃぞ、よし!詳しく教えてあげよう

その前の癌のことを少し知っておかねばな。

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癌の治療と転移

もし癌が見つかったら、CTやMRI、エコー、レントゲンなど様々な検査で癌の種類や大きさ、どの程度広がっているかなどを調べます。

これによって癌の発生源(=どんな種類なのか?)を知ることができます。最初に癌ができた部分を原発巣(げんぱつそう)といいます。

それに加えて「転移」がないかも詳しく調べます。

転移とは、ある場所でできた癌の一部が血管、リンパ管、腸管などを伝って全身に広がっていく現象です。

一度広がってしまうと原発巣の治療に加えて転移巣の治療も行わなければなりません。

つまり、転移があるかないかでその後の治療方針が大きく変わってきます。

だから、転移があるかどうか調べることはとても重要なのじゃ。

そうなんだ・・・。でも転移ってどうやって調べるの?

転移はどこにするかわからないから、全身の検査をするしかないんじゃ。

一番多くおこなわれるのは造影CT検査じゃな。

センチネルリンパ節シンチも転移を調べる検査なの?

ちょっと違うんじゃ。転移を調べる検査のための検査なのじゃ

?????

癌の種類と転移の仕方

癌が転移する過程は、癌の種類や発生場所によって違います。

肺や肝臓はもともと血流が多いため、肺癌や肝臓癌は血流にのって全身に広がっていきます。(血行性転移)

腸管にできる大腸がんは腸管内を広がり、脳にできる神経神経膠腫は、脊髄液の流れにのって広がっていきます。(播種性転移)

乳がんや皮膚がんは、体内の水分に混じってリンパにとりこまれます。そして、リンパ管を通って広がっていきます。(リンパ管行性転移)

このうち、リンパ管行性転移を起こす癌の手術では、センチネルリンパ節生検が行われます。

センチネルリンパ節の組織を切り取って病理検査をするのじゃ

センチネルリンパ節はどこにあるの?

センチネルリンパ節は決まった場所にはないんじゃ

ん????

リンパ節の役割

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リンパ管は全身に張り巡らされた管です。主に老廃物の回収と水分の回収を行っています。1日で2~4リットルのリンパ液が体を循環しています。

リンパの流れが悪くなると、水分の回収が遅れむくみの原因となります。

だから、足がむくんだらリンパ管マッサージするんだね。

リンパ管には途中にリンパ節というものがあるんじゃ。

リンパ節ってなんですか?

リンパ節は関所のようなものじゃ。

リンパ節は、リンパ管の途中にあるフィルターのようなものです。回収された老廃物や細菌をろ過します。

フィルターで捕まえた細菌やウィルスは、リンパ節にいる白血球やリンパ球などが攻撃して殺菌します。

体にはいくつかのリンパ節がありますが、癌の細胞がリンパの流れにのって最初に到達するリンパ節センチネルリンパ節といいます。

そうか、癌ができた場所によってセンチネルリンパ節も違うんだね。

そうじゃ、リンパ液の流れは複雑じゃから、最初にどのリンパ節を通るかはわからないんじゃ。

リンパ節では癌も殺せるの?

癌細胞は、とても強くて増殖の速い細胞じゃ。

免疫力が強ければある程度は防げるが、負けてしまうこともあるんじゃ

リンパ節では、細菌やウィルス、がん細胞も捕まえて攻撃しています。

がん細胞はとても強く、また白血球やリンパ球の働きなどを弱くする仕組みももっているため免疫力が負けてしまうこともあります。

そうなるとリンパ節はがん細胞にのっとられてしまい、どんどん増えていきます。

この状態がリンパ節転移です。

リンパ節転移してしまうと、そこからどんどんがん細胞が送り出されていきます。

そして、その先のリンパ管に到達してさらに転移を起こします。最終的に血管に流れ込みますので全身にがん細胞が広がっていきます。

リンパ節がやられると、がん細胞以外の細菌も攻撃できないため、免疫力が落ちて感染症にかかりやすくなります。

センチネルリンパ節のことはよくわかりました。

ところでセンチネルリンパ節シンチはどんな検査なんですか?

じゃあ、次はセンチネルリンパ節シンチについて教えるぞい

癌とリンパ節の除去(郭清)

従来はリンパ管行性転移を起こす、乳がん、皮膚がん(メラノーマ)、子宮頸がんなどの手術では、、癌の切除とともに、近くのリンパ節をすべて取り除いていました(リンパ 郭清)

リンパ節に転移があった場合、転移が広がるのを防ぐためです。

リンパ節の転移があっても、なくてもとっちゃうの?

そうじゃ。すべてのリンパ節に転移があるかないを調べるのが難しいからのぉ

リンパ節は、体のいくつかの箇所にありますが、1箇所当たり複数のリンパ節があります。

そのリンパ節すべてを探し出し、転移があるのか調べるのは困難です。

見逃しがあるかもしれません。そのため、従来は近くのリンパ節はすべて取り除かれていました。

リンパ節を取ってしまっても大丈夫なの??

それが少し問題があるんじゃ。

リンパ節を取り除くと周辺の水分や老廃物の回収ができなくなるため、むくみます。

例えば乳がんの手術で腋窩リンパ節をとってしまうと、むくみで腕がパンパンに腫れることがあります。神経を圧迫すると痛みや麻痺が起きることもあります。

それ以外にも、リンパ節がないことで細菌やウィルスへの抵抗力が弱くなります。

えーっ!なんとかならないの?

そこで、考えられたのがセンチネルリンパ節生検じゃ。

センチネルリンパ節生検

手術中に皮膚を切開し、直接リンパ節を露出します。そしてリンパ節の一部を切除して、すぐに病理検査にまわします。

病理検査は、細胞を顕微鏡や特殊な色素を使ってがん細胞かどうかを調べる検査です。通常は数日かかりますが、手術中は術中迅速病理診断によって15分程度で結果がわかります。

センチネルリンパ節の採取と病理診断をあわせてセンチネルリンパ節生検と呼びます。

がん細胞は、リンパ節で必ず捕まります。

がん細胞がリンパ液にといっしょに最初到達するセンチネルリンパ節に転移がなければ、その先にがん細胞は広がっていないと考えることができます。

センチネルリンパ節生検によるリンパ節切除の省略

さまざまな研究で、従来のようにリンパ節をすべてとる除いた場合と、センチネルリンパ節に転移がなければリンパ節の切除を行わない場合で、予後(5年生存率)はかわらないことが証明されています。

もし転移がなければ、リンパ節を残すことが可能となります。

そうなんだ。でも、どれがセンチネルリンパ節かわからないんでしょ?

そこで、行われるのがセンチネルリンパ節シンチじゃ。

体のリンパの流れは複雑です。単純に癌の位置だけでは、どのリンパ節に流れていくかはわかりません。また、同じ所に複数のリンパ節があるため、どれがセンチネルリンパ節かはわかりません。

そこで、センチネルリンパ節シンチが行われます。

センチネルリンパ節シンチグラフィ

センチネルリンパ節シンチは、核医学検査のひとつです。

フチン酸やスズコロイドといったリンパ管に取り込まれる成分にテクネチウムという放射性核種を結合させたものです。

このような薬を放射性医薬品と呼ぶんじゃ。

まず最初に癌病変の周辺に放射性医薬品を注射します。

するとすぐに、水分と一緒にリンパ管に流れていきます。

そして、最初のリンパ節(センチネルリンパ節)に流れつきます。フチン酸やスズコロイドは、リンパ節のフィルターを通り抜けられない大きさであるため、必ずリンパ節につかまります。

そして、放射性医薬品はどんどんセンチネルリンパ節に集まっていきます。

ガンマカメラとセンチネルリンパ節の画像化

センチネルリンパ節にあつまった放射性医薬品からは微量の放射線がでています。

その放射線をガンマカメラと呼ばれる装置で画像化することができます。

ガンマカメラは核医学検査で使われる撮影装置です。

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出典:SIEMENS 上下に2つあるのがディテクター。内部にシンチレータがある。

ディテクターと呼ばれる部分には、シンチレータと呼ばれる結晶があります。

シンチレータに放射線が当たると、小さな光を出します。その光はPMTという装置で増幅され電気信号に変換されます。

だから、シンチグラフィ(シンチレータ+グラフィ(写真))と呼ばれるんじゃ。

電気信号をコンピュータで計算することで、どこから放射線が来たのか(どこに放射線医薬品があつまったのか)がわかります。

それを、画像化したのがセンチネルリンパ節シンチグラフィです。

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乳がん術前のセンチネルリンパ節シンチ。手術時の体位と同じにするため右腕を上げている。赤い3つの点がセンチネルリンパ節 出典:日本メジフィジックスHP

画像でセンチネルリンパ節シンチグラフィの位置がわかるので、センチネルリンパ節生検のときに役立ちます。

それに加えてプローブを使うこともあるぞい

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センチネルリンパ節に集まった放射性薬品からは放射線がでています。

皮膚の上からガンマプローブという先端に放射線を検出できる装置をつけたものを近づけるとどこから放射線がでているのかがわかります。

一番強いところがセンチネルリンパ節に集まった薬です。その部分の皮膚面に印をつけておくと、手術のときに切開する場所がわかりやすくなります。

画像に加えて、切開する皮膚の場所も決めることで、手術時の生検に役立ちます。

そっかー、確実にセンチネルリンパ節の位置がわかるから生検に欠かせないんだね。

さらに、色素法も併用するんじゃ。

色素法によるセンチネルリンパ節の同定

センチネルリンパ節の同定には、センチネルリンパ節シンチ(RI法)とともに色素を使った色素法も行われます。

センチネルリンパ節シンチが術前に行われるのに対して、色素法は手術中に行われます。

色素法

リンパ管に取り込まれ、リンパ節を通過できない大きさの色素を使います。

RI法と同じように癌の病巣の近くに色素を注射します。色素は水分とともにリンパ管に取り込まれ、てリンパ節に到達します。

色素はセンチネルリンパ節を通り抜けることができないため、センチネルリンパ節に集まります。

色素は濃い色をしており、リンパ節を透けて見ることができます。

ただし、皮膚を切開してリンパ節を直接見る必要があります。

もし、どのリンパ節に集まっているのかわからなければ、すべてのリンパ節を確認しなければなりません。

そこで、活躍するのがRI法による情報です。画像とプローブによって正確な位置や数がわかっているので、最低銀の皮膚切開で済みます。

RI法と色素法を併用することでより、少ない負担でセンチネルリンパ節の位置を特定することが可能です。

あとは、手術中のそのリンパ節の組織を採取して、病理検査にまわすだけです。

だから転移を見つける検査(生検)ための検査なんだね。

そうじゃ。リンパ節をとらなければ手術時間も短くなるし、むくんだり免疫が落ちる心配も減るのじゃ

よくわかりました。ごまっちょ博士ありがとうございました。

お安い御用じゃ。手術の成功を祈っておるぞ

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