PET検査の費用はどれくらい?検査前に守るべきこと

PET検査にかかる費用と検査前に守るべきことを紹介します。

ペット検査とは?

ペット検査のペットは、英語では書くとPET(positron emission tomography)となります。病院で行われる画像診断のひとつです。

放射線を出す放射性核種を使った検査です。

放射線を出す放射性核種を使った検査です。

Positoron核種(ポジトロンかくしゅ)と呼ばれる放射性核種(放射性同位体)と体に吸収される化合物を結合させた放射性薬剤を体に注射します。

放射性薬剤は時間と共に体に取り込まれます。

その後、特殊なカメラ(PETカメラ)で、集まり具合と分布を画像にして病気を見つけ出します。

放射性同位体:自ら壊れながら放射線を放出する不安定な原子のこと。時間と共に弱くなっていき、放出する放射線の量は半減期で半分になる。

FDG-PET検査でる使われる薬剤

Positron核種に結合させる化合物の種類によって体内に集まる仕組みが違います。

一番多く行われているのが、糖分(グルコース)に18FというPositron核種をくっつけて作るFDG([18F]Fluoro-2-deoxy-2-d-glucose)という薬です。

グルコースはブドウ糖のことです。生物の細胞は、糖分を使って活動しています。

そのため、グルコースと結合しているFDGは細胞内に取り込まれます。

実際にはFDGはグルコース微妙に性質が違うため、エネルギーとして使われず細胞内に残ります。この性質を利用して、糖の使われる度合い(代謝)を画像にするのがPET検査です。

PETでは糖分の消費量の違いで病気を見つけ出す

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PET画像の一例:FDGが多いところは黒く、中くらい所は灰色に、少ないところは白く写しだされています。

体の細胞は、部位によって糖の消費量が違います。

例えば脳は体全体で使われる糖(グルコース)の約20%を消費していますので画像では濃く(黒く)写ります。

肝臓や膵臓も糖を使いますが、脳に比べると少なめです。その他の部分も糖を消費しますが、淡く写る(灰色)程度です。

正常な(生理的な)糖の消費量に比べ、悪性腫瘍はその何倍もの糖を消費します。悪性腫瘍は細胞の分裂が激しく、どんどん増殖するためにエネルギーが必要となるからです。

この仕組みを利用して、FDGを使ったFDG-PET検査では、悪性腫瘍を探し出すことができます。

FDG-PET検査を受ける上で大切なこと

FDG―PET検査は、がんドッグでも受けることができますが、対象となる病気であれば保険で受けることができます。

現在の保険適用となるのは、糖代謝が亢進する悪性腫瘍(悪性リンパ腫を含み、早期胃癌を除く)、てんかん、虚血性心疾患です。
※ただしそれぞれに適用要件があります。

とても、役立つ検査ですがいくつかの注意事項を守らないと検査結果に影響がでることがあります。

場合によっては検査が中止になることもあります.

食止め指示はしっかり守る

PET検査でもっとも大事なのは検査前の食事制限です。

血液中には、もともと糖が存在します。血液中の糖の量をあらわす血糖値は、食後が最も高く4~6時間後には空腹時と同じくらいまで下がります。

もし、食後の血糖値が高い状態でFDGを投与してしまうと、血液中にある糖とFDGの両方が病気に取り込まれることになります(競合します)。

その結果、本来は病巣に取り込まれるはずだったFDGの割合が減ってしまうことになります。

そうなると、本来FDGがたくさん集まり黒く写るはずの病変が、灰色~白色になってしまうため病気の見逃しの原因にもなります

血中の血糖値をゼロにすることはできませんが、毎回空腹時の状態で検査を受ければ、血液中の糖とFDGの割合が毎回同じになるため経過がわかりやすくなります。

施設によっても違いますが、FDG-PET検査の前は最低4時間の絶食が必要です。ちろん糖分を含む飲み物もだめです。

当日はインスリン注射も中止!

その他に、血糖値が上がことで分泌されるインスリンも大きな問題となります。

インスリンは、体内の糖やFDGを骨格筋にとりこませる働きがあります。筋肉に取り込まれると病変が見つけにくくなったり、本来病変に取り込まれるはずのFDGの量が減少してしまいます。

食止めの指示はしっかり守りましょう。

糖尿病の治療でインスリンを使っている方は特に注意しましょう。インスリンには持続効果があるものもあるため4時間以上食止めをしても、検査が受けられない場合があります。検査を受ける施設からの指示を守りましょう

確実に受けられる日に予約をする

FDGは非常に高価な薬です。Positron核種である18Fはサイクロトロンと呼ばれる加速器を使って検査当日の朝に作られます。(工場で作る場合と検査をする病院で作る場合があります)

その後、特殊な合成装置で18Fとグルコースを結合してFDGとなります。18Fは半減期が109分の核種です。109分経つごとに放射能量が半分に減ります。そのため、時間がたつと検査に使用できなくなります。

前日又は当日にキャンセルになってしまうと、薬が無駄になってしまいます(放射能量が減るので他の日に使ったり、他の人には使えません)。

約2mlで5万円近くする高価な薬ですので、病院によっては薬代だけ請求されることもあります。

確実に監査を受けられる日を予約しましょう。また、体調が悪い時は早めに電話しましょう。

検査を受ける前日や当日の激しい運動は控える

激しい運動は、筋肉に乳酸を発生させる原因となります(いわゆる筋肉痛の元)。

乳酸は解糖系(糖を使ってエネルギーを作る)で作られますので、糖が取り込まれます。

その結果、筋肉にFDGが集まることになります。これでは、運動によるものなのか病変があるのかがわかりにくくなります。

PET検査の前日や当日は以下のことに気をつけましょう

  • 激しい運動をしない
  • スポーツをしない
  • 重い物を運んだりして負担をかけない
  • スマートホンをずっといじらない(指にFDGが集まります)
  • 高い階段を登らない
  • ガムなどをかまない(顎の筋肉にFDGがあつまります)

などに注意しましょう。

検査の流れの一例(悪性腫瘍の検索を目的とするとき)

  1. 前日、当日は安静にして過ごします。
  2. 食事は4~6時間前から食べないようにします(糖分を含むものは全てダメ)
  3. 検査前に体重と血糖値を測定します。
  4. FDGを注射します。
  5. 60分~90分安静にします。
  6. FDG-PETの撮影を行います(20~30分)
  7. 施設によっては、一時間後に2回目の撮影を行います
  8. 終了

PET/CT装置

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photo by PET-CT Siemens Biograph01 – PET-CT – Wikipedia

検査では、PET撮影とCT撮影を続けて行います。

音はほとんどしませんが、細長いトンネルに入ります。狭いところが苦手な方は、先に相談しておきましょう。

検査後は、いつもと同じ生活を送ることができますが、体内から微量の放射線が出ていますので、24時間は、授乳や赤ちゃんを抱っこしたりするのは避けましょう。

FDGは109分で半分になりますので24時間で2048分の1まで減りますので、それだけ時間がたてば体からでる放射線量はほぼゼロと考えることができます。

まとめ

PET検査はただ画像をとるだけの検査ではありません。FDGの集まる量から、病変の悪性度、治療の効果なども調べます。

検査に正確さに影響がでますので、食事と運動に関する注意事項をしっかり守って検査を受けましょう。

PET検査の費用の目安

PET/CT検査は、保険適用の病気であれば3万~4万円、保険適応外の疾患やドックなどであれば10万円以上の費用がかかります。

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