脳の血流状態から認知症を見つけ出す脳血流シンチグラフィ

脳血流シンチグラフィーによる認知症診断

認知症の検査で行われる機能画像検査の一つに核医学検査があります。

核医学検査とは

核医学検査は放射性医薬品を使った画像検査です。

放射性医薬品は弱い放射線を出す放射性核種と体で使われるさまざまな成分とを結合させた薬です。

放射性医薬品は、注射によって体内に入れられます。その後、体中に広がりますが、どこに集まるかは薬に使われた成分によって違います。

例えば・・・

  • 骨の原料となる成分に放射性核種を結合したものは骨に集まります。
  • 炎症部位に集まる成分に結合したものは炎症部位に集まります。
  • 甲状腺に集まるヨードに結合したものは、甲状腺に集まります。

このように目的にあわせた薬を使って検査が行われます。

形や大きさが変わらなくても、機能の低下を早期に捕らえることが可能です。

検査の仕組み

目的の場所に集まった放射性医薬品からは弱い放射線が出ていますので、それを特殊なカメラを使って撮影します。

放射性医薬品の集まる量や分布によって、その部分の機能を知ることができます。機能や働きの程度を知ることができるのは、核医学検査の大きな特徴です。

認知症と脳血流の関係

どの種類の認知症でも、脳の神経や細胞がダメージを受けています。

その部分は活動が低下しているため、流れている血液の量も少なくなります。

どの部分の血流が、どれくらい低下しているかを調べることで、どのタイプの認知症かを診断します。

脳血流シンチグラフィー

脳血流シンチグラフィーは病院で行われる核医学検査のひとつです。

脳には脳血管の中の血液から酸素や必要な栄養が供給されます。脳は非常にデリケートなため、有害な成分が脳の中に入らないように脳血管には血液脳関門(blood-brain barrier)という特別な仕組みがあります。

そのため、脳の中には限られた成分しか入ることができません。脳血流シンチグラフィーでは、脳の中に入ることができ、さらに長時間とどまることのできる成分が使われます。

静脈から注射された放射性医薬品は、脳血流によって脳に運ばれます。このとき血流が多い所では多く集まり、血流が少ないところは少しだけ集まります。

放射性医薬品からは弱い放射線が出ていますので、ガンマカメラと呼ばれる専用のカメラを使って撮影することで、血流の多いところと少ないところが分かります。

ガンマカメラ

放射性医薬品からでてくる放射線はガンマ線と呼ばれます。その放射線を検出して画像にするための装置をガンマカメラといいます。

脳血流シンチグラフィ検査の概要

撮影について

放射性医薬品は静脈注射によって体内に投与されます。その後15分間休んでから撮影を行います。

撮影の時はこのようにベッドに寝て行います。脳血流検査の時は頭だけをカメラの方に向けます。

頭のまわりをガンマカメラがゆっくり回りながら撮影していきます。カメラが頭に近い方が鮮明な画像がとれるため、できるだけ近づけて撮影します。

MEMO
※この写真よりも上下にある機械がさらに近づきます。少し窮屈に感じるかもしれません。

撮影は30分前後です。撮影中はほとんど音もしません。寝てしまっても大丈夫です。

ただし、頭を動かさないように注意してください。

画像の作成

撮影が終わる、コンピュータで解析し輪切りの画像が作られます。

色のつけ方はいろいろありますが、この画像は血流が多いところは赤色、少ないところは水色にしてあります。

この色の分布を見ることで、脳の中で血流が多いところ、少ないところを調べていきます。

診断や説明の補助に使われる新しい技術

さて、検査の後の診察の時には、この画像をもとに結果の説明がされます。

でも、おそらく患者さん本人や家族の人が突然この画像を見せられても、チンプンカンプンでしょう。

正常な人の画像を見たことがないのですから、比べようがありません。熟練した医師が注意深く見ないと分かりません。

チンプンカンプンの画像を見せられて、自分が認知症だと納得する人はどれくらいいるでしょうか?

でも認知症の治療には本人はもちろんのこと家族の理解と協力が不可欠です。それには、画像を見て納得をしてもらう必要がありまs。

そこで、最近では、特別な方法でわかりやすくする工夫が行われています。

E‐ZISでわかりやすく説明できる

統計学的な手法を取り入れたEZIS(Easy Zscore imaging system)と呼ばれる方法ががその一つです。

簡単に仕組みを解説
  1. 正常な人の脳血流シンチグラフィーを集めます。
  2. 特別な方法で解析して平均化します。
  3. 年齢ごと、性別ごとにそれぞれ作って、正常人のデータを作ります。
  4. 正常な人のデータと患者さんのデータをコンピュータで計算させて、血流の少ないところを調べます。
  5. できあがった画像は、見やすいように脳の画像に重ねて表示します。

正常な人と比べて、血流が少ないところに色が付いています。

水色はわずかに少なく、赤色はかなり少ない部分です。立体的で見やすいため、誰が見ても一目瞭然です。

認知症の種類によって、血流低下のパターンがわかっていますので、どのタイプの認知症かある程度予想することができます。

とても便利な方法ですが、この画像で判断することは禁止されています。あくまでも、判断するのは熟練した医師が輪切りの画像を見て行います。

この方法はあくまで補助としてしか使えませんが、患者さん本人や家族の方に病状をしっかり認識してもらう方法として役立っています。

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