手のひらや足にできたほくろに要注意。悪性化させないために気をつけること。

メラノーマは悪性化が早く、一度転移してしまうと生命予後の悪い怖い病気です。
「ほくろ」とよく似ているため、皮膚がんと気づかず手遅れになることもあります。

特に手や足に「ほくろのようなもの」があった場合は注意が必要です。

この記事では、皮膚がんの基礎知識ほくろとメラノーマの見分け方悪化させないためするべきことを紹介します。

皮膚がんは発生場所で3つに分類される

 

皮膚癌ってどんなものがあるの?

皮膚癌は、大きく分類すると基底細胞癌有棘細胞癌悪性黒色腫(メラノーマ)の3種類にわけられます。

いずれも皮膚の中に発生する癌ですが、発生する場所が少し違います。

基底細胞癌は皮膚の一番下の基底層で発生し、有棘細胞癌は基底層と表皮の中間にある有棘層で発生します。

また、悪性黒色腫(メラノーマ)基底層のメラノサイトから発生します。

皮膚がんの種類と特徴

同じ皮膚癌でも、原因や悪性度は違います。

基底細胞癌は、長期間の紫外線が原因とされています。転移しにくいため、手術でとりのぞけば予後が良い癌です。

有棘細胞癌は基底細胞癌と同じく、長期間の紫外線が原因とされています。悪性度は低く、転移する前に外科的に除去できれば予後の良い傾向にあります。

悪性黒色腫(メラノーマ)は、発生の割合は少ないものの悪性度が高く、転移もしやすい癌です。紫外線や長期間の刺激によってメラノサイトが癌化して発生します。予後は悪く5年生存率も極めて低い癌です。

悪性黒色腫(メラノーマ)の種類と特徴

悪性度の高い皮膚がんであるメラノーマは、大きく分けると末端黒子型結節型表在拡大型悪性黒子型に分類されますが、型によって少し性格が異なります。

末端黒子型黒色腫は日本人にもっとも多いメラノーマです。全体の半数近くを占めています。体の末端(手のひら、足のうら、手足の爪)にできやすいメラノーマです。

だから、手や足にある「ほくろ」には要注意!

紫外線による影響よりも継続的な刺激が原因とされています。早期治療すれば、予後も比較的良いメラノーマです。

結節型黒色腫は全体の約3割を占めます。突然、腫瘤や結節(硬いイボのようなもの)ができて発生します。悪性度が高く、進行早く転移もしやすいため極めて危険です。とにかく早期発見が重要なメラノーマです。

表在拡大型黒色腫は、全体の約2割を占めるます。長期間の紫外線の暴露が原因となるため、日焼けをするところであれば、どこでも発生します。

悪性黒子型黒色腫は日本人に一番少ないメラノーマです。最初は黒いシミができ、その後ゆっくり大きくなっていきます。主に高齢者の顔にできますが、進行が遅く治療しやすいメラノーマです。

日本人は末端黒子型黒色腫の割合が多い

日本人の場合、年間約2000人が(10万人に2人の割合)メラノーマを発症しています。

オーストラリアの10万人に20人のという割合に比べると少ないですが、年々増加傾向にあります。

メラニンの生成量が少なく紫外線への防護が弱い白人では、紫外線の影響を受けやすい表在拡大型が約58%と多数なのに対して、日本人は17%となっています。

逆に、日本人は紫外線の影響を受けにくい肢端部(手足の先)の発生が多く、末端黒子型黒色腫が約半数を占めています。

だから、手足のほくろには注意が必要です。

メラノーマの増殖と転移の方法

メラノーマは悪性度が高く進行も早い癌です。段階を踏んで大きくなった後に、転移して広がります。

メラノーマの増殖には2段階ある

メラノサイトが癌化すると、まず横方向(水平方向)に増殖をはじめます。これを水平増殖期といいます。急激にほくろが大きくなってくる時期です。

ある程度増殖すると、上方向(垂直方向)に増殖をはじめます。これを垂直増殖期といいます。垂直増殖期が始まると、盛り上がった形状になり、急激に転移の危険が増していきます。

メラノーマの転移経路はリンパ管

癌によって転移の仕方は違いますが、メラノーマは、主にリンパ管行性(リンパ管を通って広がっていく)によって転移していきます。

まずは、一番近くにあるセンチネルリンパ節に転移し、その後肺や肝臓、骨、脳などに広がっていきます。

そのため、手術時にリンパ節を生検して転移の有無を確かめます。

メラノーマは悪性化と転移が早い

メラノーマの怖さは、悪性度の進行の早さです。他の皮膚がんと比べ物にならないくらい早く進みます。

悪性化や転移のスピードは人それぞれですが、数週間~数ヶ月単位で治癒不可能なほど進んでしまうこともあります。


メラノーマの5年生存曲線 出典:日本皮膚悪性腫瘍学会

悪性度が進むと一気に5年生存率が低下します。

基底細胞癌、有棘細胞癌など他の皮膚がんよりも予後がはるかに悪いため、、5年生存率曲線は別扱いになっています。

刺激で転移しやすい

刺激による転移のしやすさにも注意が必要です。

例えば、皮膚がんをはじめ癌の鑑別診断(どの種類か調べる)には、生検がよく行われます。

生検は癌の一部を針やメスで切り取って病理検査を行い顕微鏡レベルで調べるものです。

メラノーマの場合は、生検によって組織の一部がリンパ管などに流れ一気に転移のリスクが高まります。

そのため、まずはダーモスコピーなどによる目視による診断が推奨されています。(がん診療ガイドライン)

外科的切除のときも、最低2cm以上は広く切除することが推奨されています。(がん診療ガイドライン)

メラノーマは「ほくろ」と勘違いされやすい

一般的に皮膚がんは、皮膚の表面にあり、発見しやすい特徴があります。

肺がんや肝臓がんなどが病院での検査で初めて発見されるのに対して、皮膚がんは誰でも見つけることができます。そのため皮膚がんは、悪性化する前に発見・治療がしやすい病気です。

しかし、メラノーマは「ほくろ」に非常に似ています。

見た目でほくろかメラノーマか判断はできません。悪性度が進んで、形状が変わってしまえばわかりますが、そのときは病期がかなり進んでいます。(写真左がメラノーマ、右がほくろ)

似ている理由は、ほくろとメラノーマは、もともと「メラノサイト細胞」からできているからです。どちらもメラニン色素をもっているため形状や色が非常に似てきます。

心配だったらすぐに皮膚科に!

なんか変だなと思っても、もし癌であったときの怖さから、「ほくろ」だと信じたくなる気持ちもわかります。

しかし、その気持ちが発見を遅らせてしまい、早期発見を妨げてしまいます。

メラノーマも、早期発見であれば5年生存率は100%近くあります。

とにかく、気になったら受診することが大切です。

メラノーマとほくろを見分けるには?

メラノーマを正しく診断するには、皮膚科専門医によるダーモスコピーによる検査が必須です。

素人が見た目で判断することは危険ですが、受診するきっかけも必要です。

ここでは、実際の診療で使われる診断基準を紹介しますので、当てはまらないか確認してみてください。

それはABCD(E) ルールといわれるものです。

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出典: 写真で見るメラノーマの特徴、検査から最新治療まで|メディカルノート

A: asymmetry(左右非対称)

左右対称か非対称か?非対称でいびつであれば危険

B: border(境界)

色が不均一で色素の染みだしがあるか?辺縁がはっきりしておらず、
にじんでいれば危険。

C: color(色調)

脱色素や炎症の影響で色が変化します。
色が黒褐色以外に濃淡があったり、灰色、青色などまだらに混在していれば危険

D: diameter(直径)

大きさが7mm以上あると危険。
母斑の場合先天性のものを除くと一般的には6mm以内が正常とされる

E: enlargement or elevation(増大または隆起)

水平増殖期では急激に大きくなります。また、垂直増殖期では盛り上がってきます。
急激な変化(1~2ヶ月で1.5~2倍など)があったら危険です。

どうですか?気になるほくろに当てはまるものはありますか?ここにあげたもので、ひとつでも当てはまるものがあれば注意が必要です。

あてはまれば必ずメラノーマというわけではありません。例えば良性のほくろでも6mm以上のものもあります。

気になるほくろは観察して記録しておこう

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形も重要ですが、大きさの変化に気づくことも大切です。色の変化や大きさの変化を経過観察しましょう。

スマホなどで写真をとっておくのもお勧めです。そのとき変化がわかるように定規などを横に並べて撮影しておくと大きさの変化がわかりやすいです。

色の変化も見るために明るいところで撮りましょう。

ほくろを悪性化させないためにできること

継続的な刺激を与えない

手足における主な発生要因としては、継続的な刺激があります。

そのため、足の裏や手の平にできた「ほくろ」には注意が必要です。

弱い刺激だとしても、同じ部分に刺激を与えることで発症のリスクが高まります。例えば、靴づれを放置したり、装具などの硬い部分の接触なども注意が必要です。

ほくろをつついたり、ほくろから生えている毛を抜いたり、イボコロリなどでほくろを取ろうとすると思わぬ刺激を与えてしまうこともあります。[/alert]

とにかく刺激をしない、紫外線を避けることがメラノーマを予防することにつながります。

昔の傷に注意しておく

小さい頃のやけどの跡、切り傷の跡が残っている人は注意してください。

その部分が盛り上がったり、痛みがあったり、ジュクジュクした感じがあれば皮膚科の受診をおすすめします。

皮膚癌は過去の皮膚のダメージが引き金になることがあります。同じようにメラノーマが発生する可能性もありますので、注意しておきましょう

ほくろが多い人は日焼け止めを使う

ほくろが多い人は、後天性色素細胞母斑が多いためメラノーマの発症リスクが高くなります。

日焼け止めの使用がリスク低減に役立つという研究結果もでていますので、ほくろの多い人は積極的に利用しましょう。

気になるときはすぐに皮膚科を受診

一番の予防策は、皮膚科を受診することです。皮膚科の専門医にダーモスコピーでしっかり観察してもらいましょう。※特殊な皮膚がんなので、整形外科より皮膚科をおすすめします。

受診時には、いつからあるのか?大きさの変化はあるのか?などが聞かれますので、答えられるようにしておいてください。

遺伝子検査もおすすめ

最近は遺伝子を調べることで、病気のかかりやすさを調べるサービスがあります。気になる方はこちらの記事もチェックしてみてください。

\ 【おすすめ記事】唾液で遺伝子診断できるMYCODEを詳しく解説 /

まとめ

メラノーマ(悪性黒色腫)にならないため、悪性化させないために以下のことに注意しましょう。

  • メラノーマはほくろと同じメラノサイトが癌化したものだからとても似ている
  • ほくろが多い人は、メラノーマになる確率が少しだけ高いので注意しましょう
  • 色白な人はメラニンの生成量が少ないので紫外線を浴びすぎないようにしましょう
  • 足や手にほくろができた時は、特に注意が必要です。大きさや色を観察し続けましょう(写真を撮るのがおススメ)
  • ほくろは刺激をしないようにしましょう(いじらない、つつかない、無理にとらない、ほくろの毛を抜かない)
  • 自己判断は禁物です。気になったらすぐに皮膚科へ
  • そのうち・・・が命取りです。後悔しないためにも早めの受診を!
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