心臓の検査で認知症がわかる?心臓交感神経シンチグラフィーによる認知症診断

心臓交感神経シンチグラフィーによる認知症診断

脳神経の仕組み

人間に脳には、千数百億の神経細胞があるといわれています。神経細胞は、細胞体と軸索と樹状突起で一つの塊を作っています。その塊をニューロンと呼んでいます。

ニューロンは、脳の中に密集していますがお互いはつながっていません。ほんのわずか離れています。

脳からでた指令は電気信号となって伝わりますが、離れたニューロン同士は伝令役の成分が信号を伝えます。

それが神経伝達物質と呼ばれる成分です。脳の神経伝達物質のひとつがノルエピネフィリンという成分です。

ニューロンに電気信号が伝わると、ノルエピネフィリンは、神経の端から飛び出して、離れた神経に伝えます。役目を終えるとまた神経に取り込まれて再利用されます。

これが交感神経の情報伝達の仕組みです。

認知症と交感神経機能

認知症の中には、交感神経機能が低下して情報伝達がうまくできなくなるものがあります。

また、交感神経機能が低下すると、一度利用したノルエピネフィリン再利用がうまくできなくなります。

再利用ができないと伝令役のノルエピネフィリンが不足して情報の伝達がうまくできなくなります。

認知症の中でも、レビー小体型認知症パーキンソン病ではこの再利用する機能が大きく低下することが分かっています。

アルツハイマー病やパーキンソン病と区別が難しいパーキンソニズムは再利用する機能は保たれます。

再利用機能が正常な認知症
アルツハイマー病、パーキンソニズム
再利用機能が低下する認知症
レビー小体型認知症、パーキンソン病

交感神経の再利用機能を調べることで認知症のタイプがわかる

この特徴を利用すれば、どの種類の認知症か判断する手がかりになります。

MIBG心筋交感神経シンチグラフィー

MIBG心筋交感神経シンチグラフィーは病院で行われる核医学検査のひとつです。

ノルエピネフィリンの再利用機能を調べることで間接的に脳の交感神経機能の低下を調べます。

目的は脳の中の交感神経機能を調べることです。しかし、脳の血液脳関門を通過できる成分は限られているため直接評価するのは難しいです。

そこで、交感神経が豊富にある心臓を調べることで間接的に脳の交感神経機能を調べます。

123I-MIBGを使った検査

123Iというヨード成分が主体の放射性医薬品を使います。ノルエピネフィリンと非常に似た構造をしています。

交感神経がノルエピネフィリンを再利用するときに一緒に取り込まれます。つまり、MIBGを画像化すればその分布をみることができます。

検査の流れ

  1. 静脈注射によってMIBGが体内に投与されます。
  2. 十分に広がるまで、15分~25分ほど待ちます。
  3. 撮影をします。(30~40分)

心臓に集まった放射性医薬品から出てくる放射線をガンマカメラで撮影します。

心臓への薬の集まり程度を計測するための撮影

5分程度の撮影です。平面像の撮影をします。

心臓への分布を見るための立体像の撮影

25分程度の撮影です。ガンマカメラが体の周りをゆっくり回りながら撮影します。

2つの撮影をあわせて30~40分程度です。

基本的には撮影は2回

心臓の交感神経に取り込まれた薬は、正常であれば4時間以上とどまります。

しかし、交感神経機能が低下していると少しづつ血液の中に流れでていきます。その様子を見るために、撮影は2回行われます。

一般的には注射後15~25分後3時間後の2回です。(施設によって方法は多少異なります)

画像の評価について

心臓への薬の集まり具合を計測する

平面像を使って計測します。心臓と縦隔の放射線の量を測定して比を求めます。HM比と呼ばれます。

その比によって、取り込みの低下の程度を計測します。古くから行われている非常に信頼性の高い方法で、比を使って症状の程度を推測できます。

分布を見たり、血管障害が無いかを調べる

心臓をいろいろな方向から見た平面像をつくります。
どの部分が多いのか少ないのかを調べます。

心臓は心筋梗塞や一時的な虚血(血液不足)などの血管障害でもダメージを受けます。血管障害があるとHM比が低く計測されることもあり、認知症による交感神経機能低下を正しく評価できません。

この画像を詳しくみることで血管障害が無いか調べるこができます。

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