認知症の新しい検査:DatScan(ダットスキャン)による認知症検査

Dat Scan(ダットスキャン)を使った認知症検査

従来より認知症の画像検査として、脳血流シンチや心筋交感神経シンチが行われてきました。

最近、それに加えて新しい核医学検査が登場しました。

Dat Scanを使ったドーパミントランスポーターイメージングです。

Dat Scan(ダットスキャン)を使った検査とは?

Dat Scanは、日本メジフィジックスが販売するイオフルパン(123I)を主成分にした放射性医薬品の名前です。

脳の黒質にある線条体のドーパミントランスポーターに集まる成分でできています。

日本では2014年1月27日から販売が開始され、検査ができるようになりました。核医学検査領域で、新しい薬が認可されるのは久々の出来事です。

検査の対象と目的

DatScanは、I123というヨードの放射性同位体を使ったお薬です。パーキンソン症候群、レビー小体型認知症の患者さんに対して使うことができます。

脳の中の線条体にあるドーパミントランスポーターの働きを見るのが目的です。

ドーパミントランスポーターについて

脳の神経の仕組み

脳の神経は千数百億存在するといわれています。神経は、細胞体と軸索と樹状突起が1つのセットとなってニューロンという塊を作っています。

ニューロンは密集していますが、直接つながってはいません。ほんのわずかだけ離れています。

脳から出た情報は電気信号となって神経を伝わりますが端まで来ると伝令役の成分が飛び出して次の神経に伝えます。その役目をするのが神経伝達物質です。
(※神経伝達物質にはノルエピネフィリンやセロトニンなどがあります。)

神経伝達物質の1つであるドーパミンは脳の中の線条体という部分に多く存在しています。

ドーパミンは伝令役をつとめたあと、ドーパミントランスポーター(DAT)に取り込まれて再利用されます。

ドーパミントランスポーターの働きが弱くなると、再利用できないためドーパミンが不足していきます。

脳の中でのドーパミンの役割

誰でも、何かをしようとするときは、必ず何か理由があって行動をします。例えば物にぶつからないようによけたり、水を飲むために腕を伸ばすといった様に、全ての行動には必ず理由があります。

ドーパミンは、何か理由があって行動しようとするとき、つまり何かをする時のきっかけとして放出されることが分かっています。

このきっかけは、手順を覚えてまわりの環境に慣れようとする行動学習の動機づけにも必要となります。

ドーパミンが不足すると

普段意識することはありませんが、頭の中では、例えば歩き出そうとするときに、右脚を出して、左右のバランスが崩れないように体の重心を調整して、右脚をついて、重心を移動して・・・などなど無意識のうちに、行動の順番を組み立ててから行動しています。

そして次から無意識にできるように学習(行動学習)しています。

ドーパミンが不足するとこのような一連の動作ができなくなります。また学習の動機づけが弱くなるため、同じ行動を繰り返したり、学習して習慣化することができなくなります。

そのため次第に動くことができなくなり、物覚えも悪くなります。動作もゆっくりになり、集中力や注意力が低下した結果、認知症症状を出すようになります。

ドーパミントランスポーターイメージングの役割

認知症にはドーパミントランスポーターの働きが悪くなるものと、ならないものがあります。

〇ドーパミントランスポーターの働きが低下する

・パーキンソン症候群又はレビ-小体型認知症

〇ドーパミントランスポーターの働きは正常

・アルツハイマー病など

DatScan検査によって、ドーパミントランスポーターの働きを調べることで、どのタイプの認知症なのか判断する手助けになります。

認知症診断の精度向上に役立つ

症状などからある程度認知症のタイプが絞れれば、Datscanの検査でさらに絞り込みができる可能性があります。例えばパーキンソン症候群又はレビ-小体型認知症なのか、それ以外なのかを知ることができます。

特にレビー小体型認知症は、アルツハイマー病と見分けがつかないことが非常に多く、誤ってアルツハイマー病と診断されている例が3割近くあるといわれています。

今までは典型的なものでないとなかなか診断がつきませんでしたが、Dat Scanの登場でより正しく診断が行えると期待されています。

Dat Scan検査の流れ

  1. 静脈注射によってDatScanが体内に投与されます。
  2. 十分に広がるまで、3時間以上待ちます。
  3. 撮影をします。(約30分)

撮影は脳血流シンチグラフィ-と同じようにガンマカメラを使って行われます。※実際はこの写真よりも機械が頭に近付きます。30秒~1分に一回転くらいのスピードでゆっくり回ります。

撮影にかかる時間は、約30分間です。

画像の作成と評価

撮影が終わると、専用の装置、画像が作られ、解析が行われます。

見た目の評価

頭を頭頂部から輪切りにするような方向で画像を作るとこのようになります。

尾状核と被殻が線条体を形成しています。(実際は離れていますが、分解能の問題から画像上はつながって見えます。)

正常であれば、左右同じようなカンマ状(三日月の形)に見えます。(画像:左)

ドーパミントランスポーターへの集積が少ない場合は、カンマ状ではなく、点に近いドット状(dot状)に見えます。(画像:右)

また、パーキンソン病の病側と一致して左右差がでることもあります。

しかし、処理の仕方や画像の色のつけ方によって見え方が変わるため、主観的な評価になりやすく、正しく評価ができないこともあります。そのため、数値解析による評価も行われます。

数値による評価(SBR解析)

作成した画像を使って線条体領域(楕円)と参照領域(四角)の放射能量を測定します。そして。計算によってSBR(Specific Binding Ratio)を算出します。。

線条体への薬の集まり具合を数値として客観的に評価することがきます。

決められた方法で撮影が行われていれば、その数値で正常か異常かの線引きをすることができます。

DatScan検査とMIBG心臓交感神経シンチグラフィーとの違い

どちらも交感神経機能の評価を行っていますが、調べているところが違います。

MIBG心筋交感神経シンチグラフィーは、心筋に豊富にある交感神経の働きを見ることで、間接的に脳の交感神経機能を見ています。

DatScan検査では脳の中の交感神経の働きを直接的に見ています。

DatScanは心臓疾患があっても正確な検査ができる

MIBG心筋交感神経シンチグラフィーは心筋に血管障害があると交感神経の機能を正確に評価できないことがあります。DatScanは影響を受けずに検査を行うことができます。

DatScanの撮影は1回だけ

MIBG心筋交感神経シンチグラフィーでは、薬の投与15分後と3時間後の2回の撮影が必要ですが、datscan検査は投与3時間後の1回だけです。じっとできない認知症の患者さんにとっては負担が少ない検査といえます。

MIBG心筋交感神経シンチグラフィーの方が歴史が長い

どちらの検査も放射能量を測定することで客観的な評価ができます。しかし、日本ではDatScanの歴史はまだ浅く、症例も十分でありません。その点、MIBG心筋交感神経シンチグラフィーは古くから行われているため信頼性が高いといえます。

どちらも重要な検査

DatScan検査とMIBG心臓交感神経シンチグラフィーは、どちらも交感神経機能を調べることができます。どちらも異常があれば薬の集積が減りますが、認知症によってその傾向が違います。

現在はどちらも重要な検査であり、認知症診断には欠かせません。

Datscan検査は、まだ始まったばかりですが、これらの認知症診断に大きな役割を果たしていくことが期待されています。

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